日時: 2009 年 12 月 18 日
場所: 府民ホールアルティ
大学生になって間もない春のある日、僕は一人、何かを求めて三千院を訪ねました。満開の桜に包まれた三千院に僕はすっかり魅了され、時間も忘れて呆然とその場に立ち尽くしてしまったのを覚えています。探していたものが何なのかはわからないままでしたが、その穴を埋めるような清々しさに包まれて、僕はその場を後にしようとしました。その時、どこからかクラシックギターの柔らかい音色が暖かい春の風にのって流れてきたのです。その音色に吸い込まれるように、自然と僕の足は音のする方へと向かっていました。
僕たちが出会ったのは、桜の花びらがはらはらと舞い落ちる、そんな春の日でした。
1st | 吉野 文弥 (工 4) |
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2nd | 近藤 朋弥 (法 4) |
エンデチャは哀歌、オレムスは祈りという意味です。哀愁をこめて弾きたいです。
竹田 和樹 (工 1) |
~純愛、友愛、慈愛、敬愛、博愛、親愛、忠愛~
この曲は地球上のすべての愛を表現した素晴らしい曲だと思います。(とはいえ私に理解できるのはその内2つぐらいですが。)
ソロ初舞台でお聴き苦しいところもあると思いますが、曲に負けぬよう一生懸命頑張りますので、どうかよろしくお願いします。
原 健三 (工 3) |
アルペジオとは和音をばらして弾く奏法です。アルペジオの練習曲であるこの曲を弾いていると、極彩色の生のうねりに巻き込まれていくような錯覚に陥ります。
SPITZのアルペジオの名曲「青い車」には、「輪廻の果てに飛び降りよう」という言葉が出てきます。
繰り返されるアルペジオは、まさに輪廻。
生の螺旋階段を上りきった後、果たして僕はそこから飛び降りることができるのでしょうか。
阪口 創 (理 2) |
『モォツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙のうちに玩弄するには美しすぎる。 … …「かなし」という言葉の様にかなしい。 小林秀雄』
愉快さと、かなしさ。その ゆらぎ というか、淡さ。
ぼくは、いつも向こう見ずなことばかりやらかす。
涙のうちに語るには 滑稽すぎる。
岡田 成史 (理 1) |
あと1週間でクリスマスですね。
そのような時期の定期演奏会で演奏できることを光栄に思います。
この曲は暖かみの中に寂しさがしみこんでいるような印象を持っています。
おじいちゃんが孫にプレゼントを渡しにいくのをとても楽しみにしていたのに、
雪かなにかで会いにいけなくなってしまって…
でも、クリスマスじゃなくても渡しにいけばいいじゃないか!みたいに最後は前向きな感じだと思います。
聴いて下さった方が楽しいクリスマスを過ごせますように
福原 始 (工 2) |
このカンタータはマタイ伝にある、十人の処女が花婿を待つ話に題材を求めています。イスラエルの民は「シオンの娘」と擬人女性化され、花婿であるキリストとの一体を喜ぶのです。恐らくそこには、我々の想像をこえた至福があることでしょう。
conductor | 鈴木 啓峻 (法 2) |
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1st | 桑原 範好 (工 1) / 近藤 望 (総人 1) / 橋村 秀典 (理 1) / 原 健三 (工 3) |
2nd | 岡田 成史 (理 1) / 小島 千鶴 (文 1) / 佐藤 秀昭 (経 1) / 中西 智宏 (工 1) / 幡地 祐哉 (文 1) |
3rd | 竹田 和樹 (工 1) / 原 大貴 (工 1) / 栗田 修平 (理 1) / 増岡 千裕 (農 1) / 横山 大稀 (農 1) |
待望の女子合奏です!わがギタークラブも合奏ができるほどに女子部員が増え、喜ばしい限りです。これで将来は安泰、安泰。
今宵の演奏会に華やかな彩りを添えることでしょう。
曲は、言わずと知れたスピリチュアル・ソング。驚くべき神の御恵みという意味です。
作詞者はジョン・ニュートン。奴隷貿易に携わっていた彼は、ある日嵐に見舞われ、死に直面して初めて神との邂逅を得ます。以来、彼は奴隷貿易から足を洗って信仰の道を歩むのです。
「こんなどうしようもない、愚かな自分を救って下さった」という神の恵み、その驚きと感謝の想いが歌詞に綴られています。
そんなひたむきで素直な想いを、女性ならではの柔らかな響きでお届けします。
1st | 保坂 友香里 (農 3) / 近藤 望 (総人 1) |
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2nd | 平野 倫子 (工 2) / 増岡 千裕 (農 1) |
3rd | 寺田 恵子 (総人 3) / 小山 ひかり (医 2) / 小島 千鶴 (文 1) |
ガヴォットとは二拍子系の舞曲を指します。この曲は、畳み掛けるようなリズムで語るⅠの間に、朗々と歌い上げるⅡが挿入されるという構成を取っていますが、哀愁を湛えた曲調は少し、老人が往時を追想するような風情を感じさせます。時の経過によって純化された記憶が、舞踏のリズムに乗って活き活きと甦るように弾きたいと思います。
鈴木 啓峻 (法 2) |
何事も第一印象が大事と言われます。この曲を初めて聴く人に
いい印象が与えられるよう、精一杯演奏いたします。
岡村 徹 (工 6) |
この曲を弾いていると、高音のメロディーが女性、ベースが男性のように思えてきます。
メロディーが小さくなってくると、ベースがそれを押し上げようとする様は女性が沈んでいるとき、男性が励ましているように見えます。
前半の上昇する部分は2人が共に歩み寄って緊張が高まっているように思えます。
後半の上昇する部分は男性が女性の手を引いて登っているように思えます。
和音は輝いている女性を男性が陰から支えているように思えます。
そんな2人の姿を描けたらいいな、と思います。
そして、そんな男性になれたらいいな、と思います。
佐々木 陽平 (農 3) |
プレスティ・ラゴヤ夫妻という今日でも最高のギターデュオと称されるこの二人に、テデスコの平均律曲集は捧げられています。今回弾く第11番をテデスコがどのようなイメージで書いたのかは、ただ曲を通して想像する他のないことですが、いずれにしろとても不思議な感じのする曲です。どこか悲哀を感じる曲ではありますが、ただそれだけでもなくて・・・。そんなことを考えながら楽譜を読み直したり演奏を聴いたりしていたら、ふとかつてギタリストの塩谷氏が言っていた言葉を思い出しました。「テデスコはプレスティにいったいどんな気持ちを持ってたんだか・・」と彼女は、この曲を練習する僕らにつぶやいたのですが、今になってその言葉がしっくりときます。単なる悲哀とか暗さだけでなく、いい意味での人の感情の複雑さ。この演奏がそんなところのものを伝えることができれば幸いです。
鍋島 朋之 (農 4) | |
後藤 直樹 (総人 4) |
ナポレオン・コスト(1805~1883)はフランスの作曲家です。
副題の『リゾンの泉』はフランスに実在して、コストが幼少期を過ごした家の近くにあるそうです。
目まぐるしく変わる曲調は、湧き上がる泉、広大な田園風景、村人たちの踊り、そんな断片的な子供の頃の記憶をスライドショーで見ているかのようです。
楽しみながらお聞き下さい。
今井 啓太 (工 3) |
「3つの小嬉遊曲 op.61」は19世紀の作曲家, F.ソルによって
ギターの先生と生徒のための練習曲として作曲されました。
今回は前半Andanteと後半Allegrettoを先生役,生徒役を入れ替えて
演奏いたします。さて, どちらが先生役でどちらが生徒役でしょうか?
鍋島 朋之 (農 4) | |
岡村 徹 (工 6) |
私らしく底抜けに明るくて元気な曲です!
ところどころ曇ったようでいて、また晴れ間が見えたり、止まりかけた時計の針がまた急速に動き出したり…。予想外の展開になんだかワクワクしてきませんか?
クーラントとは「走る」という意味に由来する舞曲。その名の通り、思わず駆け出したくなるような楽しい曲です。いろいろと難しいことを考えるのはさておいて…
さあ、皆さん弾んでください!一緒に楽しみましょう。
寺田 恵子 (総人 3) |
あても無くただ荒野を歩いていた。
赤褐色の大地と、所々に生える生気の無い潅木だけが視界を埋め尽くす。
ふと、何かを感じて視線を遠くに向ける。小高い丘の頂上に、白い何かが聳える。
大聖堂。
それは、先の分からぬ己の心が生み出した、黄昏の蜃気楼だったのかもしれない。
ゆっくりと歩を進めた。
精巧な細工を施された美しいステンドグラスから、光が零れる。
静かだった。自分以外そこに誰もいないかのような錯覚に陥る。
だが、そこには自らと同じように目を瞑り、祈りを捧げる者たちで溢れていた。
何処からとも無く、静謐な旋律が響き始める。まるで、魂をどこかへといざなうかのように。
静かに祈り続けた。
降り注ぐのは、光条――。
外に出ると、強い風が吹いていた。その波に乗り、鐘の音が周囲に渦を巻く。
振り返って見上げると、聖堂の頂上に立つ十字架の輪郭が、逆光で輝いて見えた。
再び前を向く。大聖堂が作り出す巨大な影が、街路を暗澹と覆っていた。
立ち止まったまま、歩き行く人々の背を眺める。
無数の背中は聖堂の影から抜け出ると、橙色に照らされる街並みに紛れ、やがて見えなくなった。
夕暮れに鳴り響く希望とも絶望ともとれぬ鐘の音色が、心に深く刻まれていた。
誰もいない大聖堂に、足音だけが響く。その音と共に舞い上がる埃が、服にまとわりつく。
祭壇の前で立ち止まり、正面に設えられたステンドグラスを見上げる。
大部分に皹が入り、所々剥げ落ちているそれからは、直に夕日が差し込んできている。
眩しそうに目を細めてしばらく眺めた後、振り返って近くの椅子に座った。盛大に埃が舞い上がる。気にせずにそのまま横になった。
暖かくも冷たい光に照らされる。
やがて、眠りにつく。
大久保 慧 (農 3) |
このままでは駄目だ、と前々から思ってはいました。
音楽が好きだから、これからも続けていきたいから、もうひとつ先に進みたい、と。
バッハであり、かつナベシマでありたい
このフーガは、私の大好きな曲であり、これからの自分に課す課題でもあります。
原曲は無伴奏バイオリンソナタ1番のフーガ。バッハ自身がリュート用に編曲した(と言われている)ものが今日演奏するbwv1000で、編曲はイ短調になります。
最後に、この曲に取り組むにあたってたくさんの刺激を与えてくれた多くの出会いに、ありったけの「ありがとう」を。
鍋島 朋之 (農 4) |
モーツァルトは明るくユーモアのある人だったと言われています。 しかし、この曲が書かれた晩年には、かつてあった人気は衰え、演奏会を開いてもチケットは一枚しか売れない、そんな厳しい状況でした。 何を思いこの曲を書き、何を思いこの曲を演奏したのか…、僕には人には明るく接するけれども、心の中では悲しく寂しい、そんな分裂して葛藤していたモーツァルトの姿が見えるような気がします。
今年は1回生の参加もあり、例年よりも華やかな合奏となっています。 豊かな響きをお楽しみ下さい。
conductor | 今井 啓太 (工 3) |
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1st | 大久保 慧 (農 3) / 鍋島 朋之 (農 4) / 岡宮 喬史 (法 3) / 谷 陽太朗 (理 2) |
2nd | 寺田 恵子 (総人 3) / 奥田 啓祐 (法 2) / 小山 ひかり (医 2) / 中川 大也 (理 2) / 平野 倫子 (工 2) / 近藤 望 (総人 1) / 増岡 千裕 (農 1) / 安 眞玉 (国 4) |
3rd | 佐々木 陽平 (農 3) / 福原 始 (工 2) / 鈴木 啓峻 (法 2) / 岡田 成史 (理 1) / 原 健三 (工 3) |
4th | 阪口 創 (理 2) / 保坂 友香里 (農 3) / 吉田 奈緒 (農 3) / 楠本 隆雄 (工 2) / 横山 大稀 (農 1) / 幡地 祐哉 (文 1) |